俳句

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猫は飼はず金魚も飼はずわれを飼ふ

 猫は飼はず金魚も飼はずわれを飼ふ   黒田杏子

                句集『花下草上』

パートナーが自分以外の何かに夢中になっていると寂しい。

猫でもなく金魚でもなく私の方を向いてくれていると気づく。

髪洗うたび流されていく純情

 髪洗うたび流されていく純情   対馬康子

               句集『純情』

髪を洗う行為は本来衛生の話だが、この句はそれが心情の話へと変わっている。

髪を洗うとき大方は生まれたままの裸であろう、シャンプーやすすぎ水が目に入らぬよう両目をつむることもあるだろう。

目をつむれば人の意識は内面に向かい、ともしれば自分の何かに ”目をつぶっている” 私を見つけてしまうかも知れない。

「髪洗う」は夏の季語なので、ある夏のシーンの俳句。

相談の結果今日から夏蒲団

 相談の結果今日から夏蒲団   池田澄子


夏蒲団という季語、生活感のあるシーンとして伝わる俳句。

「まだまだ、明け方は寒いよ~」

「いつも、暑いのか布団を剥がして寝ているよ!」

とか、世帯ごとの事情があろう。

ちなみに、我が家の敷布はひんやり加工の夏蒲団に入れ替えたが、春炬燵はそのままある。

”春炬燵”と”夏蒲団”と「季重り」のわが世帯。

すでに立夏はとうに過ぎ、春炬燵は夏炬燵になり季語でさえないかも知れぬ。



じゃんけんで負けて蛍に生まれたの

 じゃんけんで負けて蛍に生まれたの   池田澄子

                 句集『空の庭』

リインカネーション(輪廻転生)の句。

この世に生まれる前、みんなでじゃんけんする。

じゃんけんで勝った者から、人間が良いだの、

鳥はよいだの、ライオンがよいだの・・・決まってく

私は負けてしまったので、残っていたのは蛍に生まれることでした。

春の風苦しむ鶏を抱きにゆく

 春の風苦しむ 鶏 ( とり ) を抱きにゆく   宇多喜代子                 『りらの木』 むかし、宇多喜代子さんがNHK俳句の選者をしてらした時、兼題に投稿された多くの類句類想に対して、 「みな、私と同じような思いをしているのを見ると嬉しくなる」 と...