俳句

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うごけば、寒い

 うごけば、寒い     橋本夢道

          『無礼なる妻』

普通は寒ければ、無駄に体を動かしたり、ぴょんぴょん跳ねたりするでしょう。

本当に本当に寒い地域では、動くと袖や首襟などの隙間から冷気が入り体が凍てるのです。

尋常ならざる寒さが伝わってきます。

咳の子のなぞなぞあそびきりもなや

 咳の子のなぞなぞあそびきりもなや     中村汀女

                    『汀女句集』

風邪をひきコンコン咳する子供、終わらないなぞなぞ遊びに付き合う母親。

なぞなぞが尽きれば、母はどこかに行ってしまうのではという心細さ。

だんだんと問い掛けは、なぞなぞになっていないかも知れません。


日記買う姉の意地悪書くために

 日記買う姉の意地悪書くために     三原瑛心

                「17音の青春」

GPSの位置情報アプリ、弟の現在位置を知るために使っている姉は多い

「鍵を忘れたから、開けといて」

「〇〇の近くにいるなら、〇〇買っておいて」

などなど

「けっこう、便利だよね~」、と

この”便利”は”弟”に対してでさえなく、”アプリ”に対して

吹雪くねとポストの底の葉書たち

 吹雪くねとポストの底の葉書たち     高野ムツオ

           『あの時 俳句が生まれる瞬間』

「吹雪くね」、とセリフの入った口語俳句、しゃべっているのは葉書たち。

ポストの底に重なって、励ましあっている。

投函口から冷気だけでなく、雪の欠片も入って来る。

そして、吹雪く音も聞こえてくる。

頑丈なポストの中とはいえ、少し不安で、少し安心

春の風苦しむ鶏を抱きにゆく

 春の風苦しむ 鶏 ( とり ) を抱きにゆく   宇多喜代子                 『りらの木』 むかし、宇多喜代子さんがNHK俳句の選者をしてらした時、兼題に投稿された多くの類句類想に対して、 「みな、私と同じような思いをしているのを見ると嬉しくなる」 と...