吹雪くねとポストの底の葉書たち 高野ムツオ
『あの時 俳句が生まれる瞬間』
「吹雪くね」、とセリフの入った口語俳句、しゃべっているのは葉書たち。
ポストの底に重なって、励ましあっている。
投函口から冷気だけでなく、雪の欠片も入って来る。
そして、吹雪く音も聞こえてくる。
頑丈なポストの中とはいえ、少し不安で、少し安心
春の風苦しむ 鶏 ( とり ) を抱きにゆく 宇多喜代子 『りらの木』 むかし、宇多喜代子さんがNHK俳句の選者をしてらした時、兼題に投稿された多くの類句類想に対して、 「みな、私と同じような思いをしているのを見ると嬉しくなる」 と...