亀鳴くてほんまでつか番頭はん 岩下芳子
俳句の季語にはおかしなものも混ざっている。
亀の鳴き声など聞いたことはないけれど、年長の人なら何でも知っている。
「春になれば亀が鳴く」と、どこからかで聞いた小僧さんが尋ねる様子がかわいい。
春の風苦しむ 鶏 ( とり ) を抱きにゆく 宇多喜代子 『りらの木』 むかし、宇多喜代子さんがNHK俳句の選者をしてらした時、兼題に投稿された多くの類句類想に対して、 「みな、私と同じような思いをしているのを見ると嬉しくなる」 と...